解答

●コメント
 積分を知っている人は積分で答を求めようとする過程で出てくる式から、
半径4cmの球の体積を求めることと同じであることに気づき、積分の基
本的な概念から、積分を使わない解き方も考えることができますが、中学
数学の知識だけでこれを解くのは非常に難しい。
 この問題は球の半径が8cmより短ければ問題が成立しません。球の半径
がちょうど8cmのとき円筒は線分となり、体積が0となりますが、そのと
きの物体の体積は半径4cmの球の体積と同じですから、円筒の体積が0で
ないときも、円筒でくり抜かれた物体の体積が常に一定ならば、その体積
は、半径4cmの球の体積と同じになるはずです。中学数学の知識だけで解
くのであれば、それが解法の糸口になるだろうと思います。

解法

※注
 上記解法では、どこで切断しても面積がおなじであれば体積も同じ
であるという論理を使っていますが、これはカバリエの原理と呼ばれ
ています。
 

これについては後日、改めて解説することにしますが、
1つの説明をとりあえず述べておきます。


 平面は体積が0ですが、切断するときの平面と平行に、シャボン玉を
作る膜ほどに薄くスライスすれば、物体と小球が同時にスライスされた
とき、物体をスライスしたものと小球をスライスしたものは、体積がほ
とんど同じになることが推測できるでしょう。この膜の厚さを限りなく
薄くしていけば、これら2つの体積は限りなく同じ値に近づくというの
は円柱や角柱の体積が底面積×高さで求められるということから理解で
きます。円柱と角柱では、底面の形状は違っても、底面の面積と高さが
同じであれば体積も同じですが、○○柱でなくとも、限りなく薄くスラ
イスしたものは、底面と上面が限りなく合同に近くなりますので、その
体積はそれらを底面とする○○柱という立体の体積に限りなく近づくと
考えることができます。
 限りなく同じ値に近づくというのは正真正銘に等しいことを意味しま
す。例えば、0.99999・・・・・・と、9が無限に続けばこれは1に限り
なく近づくわけですが、これが1と等しいことは、中学数学でやる無限
循環小数を分数で表す方法を使ってみればわかります。(数学パズル4
のヒント参照)
 そういうわけで、物体と小球が限りなく薄い膜状のものを重ね集めた
ものだと考えると、スライスされたときに同時にできる物体と小球の薄
い膜状のものどうしはそれぞれ全て体積が同じですから、全体の体積も
同じになります。

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