マッチ棒パズル
算数で考える大人のパズル
                   
問題の序文

<例題>
「長さ1のマッチ棒12本を使って面積3の多角形を作りなさい」
この問題の答は、辺の比が3:4:5の三角形が直角三角形になることを利用すると下記のようなものが見つかります。
※半透明のマッチ棒は移動させたあとの残像です。


このパズルを「マッチ棒パズル7」として、このサイトに掲載してから十数年経ちますが、最近では中学入試問題集などにも掲載されています。

今回はこれを基にハイレベルの問題を創りました。


<問題T>
長さ1のマッチ棒12本すべてを使って面積3の線対称である多角形を作ってください。
ただし、
辺の数が最小の線対称な多角形を3とおり作ってください。
上の図のような1メモリの長さが1の方眼紙は利用できるものとします。


※上の条件を満たす多角形は通常のマッチ棒パズルとしての解が3とおりあり、その他に、作る過程で作図の工夫が必要な解が2とおりあります。
こられの解の中に均整美のある素晴らしい解が1つありますが、これは後の問題U、問題Vに深く関わるものです。

※自分が作った解が最も辺の数が少ない多角形であるかどうかを確認するためには、その証明を試みてください。証明は線対称な多角形を1つ作るよりはるかに簡単ですから、できなければそれより少ない辺の多角形があると考えてください。

辺の数が最小でない多角形は、十二角形以外でも線対称の条件を満たす多角形は何とおりもあり、作る過程で工夫が必要な解を含めると、様々な形のものを数多く作ることができます。「作る過程で作図の工夫が必要」という意味は、1メモリの長さが1の方眼紙と長さ1のマッチ棒を使って作図しながら作る必要があるという意味です。マッチ棒は太さのない線分と考え、マッチ棒を繋ぎ合わせた直線と方眼紙の格子線との交点にマッチ棒の端を置くなどして作るわけですが、その場合は一旦置いたマッチ棒を取り除く必要があります。一旦置いたマッチ棒を取り除く必要のない、条件を満たす解は3とおりありますが、この3とおりを見つけるのは数理パズルとしてもハイレベルです。
まずは準備体操として2つの条件「線対称な多角形」「辺の数が最小の多角形」がないものとして考えてみてください。

<問題U>
この問題は問題Tで「辺の数が最小」という条件がないときの解として「マッチ棒パズル8」の創作者(あるえっとさん)が示した解の中の1つを基にしています。これは図を示しただけで一般のマッチ棒パズルの解としては妥当だと思われますが、数理的にはその作図法を示す必要があるものです。そこで問題を次のようにし、ヒントも付け加えました。

長さ1のマッチ棒12本すべてを使って、面積3で2つの辺の長さが、ともに3である線対称の多角形を作ってください。ただし、マッチ棒とマッチ棒がなす角度やマッチ棒の分点(○:○に分ける点)は目分量では決められないものとします。作図には1メモリの長さが1の方眼紙と太さのない長さ1のマッチ棒のみしか使えませんが、マッチ棒とマッチ棒を繋ぎ合わせて直線を作ることはできるものとします。

※方眼紙とマッチ棒だけで作図するという条件があっても、数学を得意とする人には難しくはありませんが、算数の範囲でも、つまり一般のパッチ棒パズルの考え方でも作図する方法はあります。その解法は説明されれば子供でも分かるような簡単な方法ですが、これを発見するのは超難のレベルです。

<問題V>
問題というよりほとんど遊びですが・・・。
問題Uの後書きでいうところの「簡単な方法」による作図では補助線の役割をもつマッチ棒が必要ですが、解となる図形から補助線のマッチ棒を取り除かないで、問題Tの均整美のとれた解を合体させると8×8の方眼紙にピッタリ収まる、あるものを連想させる絵ができます。それを見ると問題Tの均整美のある解と問題Uの解は数理的に結びついていることが分かります。その絵とはどんな絵でしょうか?

ヒント それは未来の○○○を連想させるものです。

問題考案者 IMD学院 辻
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